2006年5月31日 (水)

未知の形態持つ微生物発見 従来の分類当てはまらず

 これまでに知られているどの生物の分類にも当てはまらない、不完全な「核膜」を持つ微生物を東京医大神経生理学講座の小塚芳道兼任講師らの研究グループが、伊豆諸島南方の深海底で31日までに発見した。

 現在すべての生物は、DNAを包んでいる核膜やミトコンドリアなどを細胞内に持つ「真核生物」と、これらを持たない原核生物の「古細菌」「真正細菌」の3つに分類されている。発見された微生物は原核、真核両者の中間的な特徴を持っており、原核生物から真核生物への進化の過程を明らかにするための重要な手掛かりになるという。

 微生物は、明神礁近くの深さ約1300メートルの海底で2000年に採取された泥の中から、ゴカイの仲間のウロコムシに付着している状態で見つかった。

共同通信 2006年5月31日

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2006年5月28日 (日)

MRSAに効く新抗生物質を発見

 院内感染の原因となる細菌の中でも最も恐れられているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)などを殺す強力な抗生物質を発見したと、米製薬大手メルクの研究チームが、18日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

米製薬会社が発見 院内感染阻止を期待
 研究チームは、25万種に及ぶ天然物質の抽出物の殺菌力を調べ、南アフリカの土壌から採取した放線菌が作る低分子化合物が強い殺菌力を持つことを突き止め、プラテシマイシンと名づけた。

 MRSAに感染したマウスで試したところ、効果が確認でき、副作用もなかったほか、VRE、肺炎球菌などに対しても強い殺菌作用を示した。

 さらに、この物質が働く仕組みを調べたところ、細胞の脂質合成にかかわる酵素を阻害することが判明。既存の抗生物質と仕組みが似ていると、耐性菌が出現しやすいが、この物質のように、脂質合成を阻害する抗生物質は例がないという。

 薬剤耐性菌に詳しい国立感染症研究所細菌第2部の荒川宜親部長は「MRSAなどに有効な抗菌薬は少なく、治療は手詰まり状態で新薬が期待されていた。この抗生物質は、全く新しい仕組みらしく画期的だ。毒性も低く、臨床的にも期待できる」と話している。

YOMIURI ONLINE 2006年5月18日

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2006年5月 9日 (火)

軟骨を骨に変えるたんぱく質発見…変形関節症治療に光

 軟骨の一部が硬い骨に変わることで痛みを引き起こす病気に関与しているたんぱく質を、東京大医学部の川口浩・助教授、三楽病院(東京都千代田区)の山田高嗣医師らのチームがマウスを使った実験で突き止め、病気の進行を抑えることに成功した。多くの高齢者を悩ませる変形性関節症などの治療につながる可能性があるという。

 8日付の専門誌「ネイチャー・メディシン」電子版に発表した。

 川口助教授らは、軟骨の中だけにごく微量にある「カーミネリン」というたんぱく質に着目。このたんぱく質を持たないマウスと普通のマウスで、軟骨の一部に骨の突起ができる変形性関節症を同じ条件で発病させた。その結果、このたんぱく質を持たないマウスは骨の突起の体積そのものが、普通のマウスに比べ4分の1程度に抑えられた。さらに、老化に伴う「じん帯や腱(けん)が骨に変わる症状」も起こりにくかったという。

 マウスの体内には、軟骨が骨に変わるのを防いでいる酵素が存在するが、カーミネリンは、その酵素がそもそも作られないように働いて、結果的に軟骨を骨に変える働きをしているとみられている。

 川口助教授は「カーミネリンの働きを詳細に分析することで、同様の働きをするたんぱく質などが人間でも見つかる可能性が高い」としている。

YOMIURI ONLINE 2006年5月9日

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2006年5月 1日 (月)

サンゴの蛍光たんぱく質応用、分子の動き判別 理研開発

 沖縄県の海に生息するサンゴから見つけた新しい蛍光たんぱく質を「光の目印」として使い、分子の動きの違いを簡単に見分ける技術を理化学研究所のチームが開発した。これを応用して、一つの細胞の中を6色に染め分けることもできた。4月30日付の米科学誌ネイチャー・バイオテクノロジー(電子版)で発表した。

 蛍光たんぱく質は分子につけて光らせれば、分子の存在や動きを知る目印になる。2種類の分子が別の色で光れば、結合など相互作用の様子もわかる。蛍光たんぱく質は特定の色のレーザー光に反応するが、これまで使われてきたものは、ほぼ同色の光を出した。

 チームは、サンゴから抽出した蛍光たんぱく質の遺伝子を操作し、当てたレーザー光と全く違う色の光を出させることに成功した。光の波長が跳ぶように変わるため、将棋の駒の桂馬にちなみ、このたんぱく質を「ケイマ」と名付けた。

 この原理などをもとにし、同色のレーザー光に対して異なる色を出す6種のたんぱく質を用意。細胞に1種類のレーザー光を当てるだけで、核やミトコンドリアなどの小器官を色別に浮かび上がらせることもできた。従来は、色違いの蛍光たんぱく質を同時に光らせるのに、色の数だけレーザー光が必要だった。

 理研脳科学総合研究センターの宮脇敦史チームリーダーは「一つの細胞の中で何種類もの分子が複雑に動く様子を、同時に素早く観察できれば、薬の効果を評価するときなどに役立つ」と話す。

asahi.com 2006年5月1日

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2006年4月30日 (日)

RNA作る“スイッチ”は1遺伝子に5個以上

 生命活動の基本となるDNAからRNAへの遺伝情報の読み取りに関し、理化学研究所などの国際チームは、RNA生成の起点となるDNA上の“スイッチ”が、従来考えられていたよりも5〜10倍も多いことを突き止めた。


 28日付の専門誌ネイチャー・ジェネティクス電子版に発表する。

 一つの遺伝子に複数のスイッチが存在することになり、たんぱく質の作られ方も様々。これが高等動物の複雑な生命活動の原動力である可能性があるという。

 国際チームはヒトとマウスの全遺伝情報を解析、RNA生成を指示するスイッチがどこにあるかを探した。人間では、19万513個を確認。これまで一つの遺伝子には、1個程度のスイッチしかないと考えられていたが、実際は1遺伝子に平均5個以上のスイッチが存在していた。

 しかも同じスイッチから始まって複数の異なるRNAが作られることも判明。一つのスイッチからは1種類のRNAが作られるという定説を覆す結果で、こうした異なる種類のRNAを作るスイッチは全体の77%を占めた。

YOMIURI ONLINE 2006年4月29日

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2006年4月16日 (日)

肥満の人に朗報?食欲抑制する物質、動物実験で解明

 食欲をコントロールする際に重要な働きをする脳内のたんぱく質を、米コロンビア大糖尿病センターの北村忠弘・助教授、ドミニコ・アッシリ教授(ともに内分泌学)らのチームがラットを使った実験で突き止めた。


 人でも同様の仕組みがあるとみられ、糖尿病や肥満などの生活習慣病の治療につながる成果。専門誌「ネイチャー・メディシン」電子版に発表した。

 脳の視床下部には、食欲を促進する物質(Agrp)と抑制する物質(Pomc)がある。レプチンというホルモンが、Agrpを減らしPomcを増やすことで食欲を抑えることがこれまでに知られているが、北村助教授らは、「FoxO1」というたんぱく質に注目。このたんぱく質が働いているときは、レプチンを投与しても食欲は衰えなかった。

 一方、ラットに半日間絶食させても、「FoxO1」の働きを止めておくと、食事量は増加しなかった。つまり、「FoxO1」が食欲促進物質を増やしていることになる。

 北村助教授は「FoxO1の働きを調節することで食欲をコントロールできる可能性がある。動物で効果が出れば、人の治療への応用を考えていきたい」と話している。

YOMIURI ONLINE 2006年4月16日

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2006年4月15日 (土)

コメを稲穂にとどめる変異を特定、農業生物資源研

 日本で主に栽培されるジャポニカ米(短粒種)は、野生種やインディカ米(長粒種)に比べ、稲穂から種子が落ちにくい。効率良い栽培を可能にし、日本の米食文化を育てた特長の原因変異を、農業生物資源研究所(茨城県つくば市)などが特定した。交配などでこの変異をインディカ米に導入すれば、収量増が期待できる。成果は13日付の米科学誌サイエンス(電子版)で発表する。

 研究チームは、穂を握ってもほとんど種子が落ちないジャポニカ米「日本晴」と、握るとほとんど落ちてしまうインディカ米「カサラス」をかけあわせた稲を使って、種子が落ちにくい稲では、特定の領域の塩基が一つだけ置き換わっていることを突き止めた。この領域は、実った種子を落ちやすくする遺伝子(脱粒遺伝子)を制御しており、塩基が置き換わると脱粒遺伝子が働かなくなっていた。

 研究チームによると、日本で栽培されている稲は、約1万年前に中国の長江中流域で栽培化され、約3000年前に日本に伝えられたと考えられている。今回見つかった変異の分布を調べた結果、中国での栽培化開始から日本伝来までの間に突然変異が起き、その特長のある稲を栽培向きと考えて代々選んだため、現在日本で栽培されているジャポニカ米全体の特長となったらしいという。

asahi.com 2006年4月15日

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2006年4月14日 (金)

接着剤:自然界最強、細菌で市販品の倍以上

 水道管の内側など水が多い場所にくっついて生息する細菌の一種が、市販の「強力」接着剤の2倍以上の接着力を発揮できることを、米インディアナ大などのチームが13日までに実験で確かめた。自然界最強の記録だという。

 水に強く、人体への毒性も確認されていないため、接着成分だけを大量生産できれば、外科手術などの用途に理想的。しかし「機械にくっつかせず製造できるかどうかが問題になりそうだ」という。

 「カウロバクター・クレセンタス」という細菌で、尾のように伸びた付着器官の先端を使い、水道管内部や川の中の岩など、水が豊富な場所の平面にくっつく。器官先端にある糖の分子に秘密がありそうだが、接着の仕組みは完全には解明されていない。

 ガラス棒にくっつけた細菌を引っ張って接着力を調べたところ1平方ミリ当たり70ニュートン。これは2.5センチ四方に約5トンの重さがかかる力に相当し、市販の強力接着剤より2.5〜3.8倍強かった。

毎日新聞 2006年4月14日

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2006年4月11日 (火)

パーキンソン病:神経細胞破壊の抑制物質を発見

 東京農工大などの研究チームは11日、パーキンソン病の原因となるたんぱく質(αシヌクレイン)が、神経細胞を壊す塊となるのを抑制する物質を突き止めたと発表した。納豆や野菜、果物などに含まれるピロロキノリンキノン(PQQ)と呼ばれる物質で、試験管に入れた原因たんぱく質にPQQを加えると、PQQを入れない場合に比べて固まって生成される繊維の量が大幅に減った。研究チームは「パーキンソン病の治療や予防薬開発に有望な物質といえる。今後、動物実験などで効果を確かめたい」と話している。

 パーキンソン病は、脳内物質のドーパミンが不足し、体が動きにくくなる難病。原因たんぱく質が凝集・繊維化し、脳内のドーパミンを生成する部位の神経細胞を壊すため起きる。細胞の破壊を止める治療薬はなく、脳内でドーパミンに変化する薬剤を投与する対症療法しかない。

 研究チームは、原因たんぱく質とほぼ同量のPQQを入れた試験管と、原因たんぱく質だけを入れた試験管を約150時間観察し、原因たんぱく質が繊維になった量を比べた。その結果、PQQを入れた試験管の繊維の量は、入れない試験管の1割以下にとどまっていた。

 研究チームの同大大学院の早出(そうで)広司教授(生命工学)は「PQQが原因たんぱく質に結合して、凝集・繊維化を止めているようだ。この物質が患者の体内でも働けば、パーキンソン病の進行を止めることが可能になる。繊維化したたんぱく質を分解する根本的な治療薬につながる可能性もある」と話す。

 パーキンソン病に詳しい服部信孝・順天堂大医学部助教授(脳神経内科)の話 PQQが、原因たんぱく質の構成成分に働くことは知られているので、理論的にも興味深い成果だ。PQQは水溶性なので、新薬を開発する場合は脂質の多い脳内へも入りやすくする工夫が必要になるだろう。

From 毎日新聞 2006年4月11日

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2006年4月 6日 (木)

冬眠制御たんぱく質発見、病気予防や治療法開発にも

 冬眠を制御するたんぱく質の存在を、三菱化学生命科学研究所の近藤宣昭・主任研究員らがシマリスを使って突き止めた。

 冬眠中は、体の防御機能が高まるだけに、人への応用の道が開ければ、新しい病気の予防法や治療法の開発につながるとしている。7日付の米科学誌セルに発表する。

 近藤主任研究員らは、シマリスの肝臓で作られる特定のたんぱく質の血液中の濃度が、ほぼ1年周期で変動することを発見。さらに、このたんぱく質の血中濃度が、冬眠期には減少する一方で、脳内では逆に上昇することを確認し、冬眠特異的たんぱく質複合体と名づけた。

 冬眠中のシマリスでも、脳内でこのたんぱく質の働きを抑えると、冬眠が停止したという。

 冬眠は、寒冷期に体温を下げて、エネルギー消費を抑える生物現象。その期間中は、体の防御機能が高まり、通常時よりも血液循環が少なくても、脳や心臓が損傷を受けないほか、感染症に対する抵抗力も増すことが知られている。

 近藤主任研究員は「全く新しい病気の予防法、治療法に道を開く可能性がある」としている。

From YOMIURI ONLINE 2006年4月6日

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